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9月, 2025の投稿を表示しています

3Dプリンターで電子基板を作る(第四回)表面実装のテスト

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 スルーホールを利用した裏面配線での実装に関してはとりあえず成功したので、今度は表面実装部品の実装テストを行ってみたいと思います。 以下のような基板を作成します。  RaspberryPiZeroを使用したモーター回転制御装置です。ロータリーエンコーダーでPWMの出力を変更し、PWM信号でMOSFETをON/OFFしてブラシモーターを回す簡単な回路になります。入力は19V電源を使用し、RaspberryPiへ5V入力させるためにLM2596を使用します。  今回は表面実装のテストを行うため、MOSFETは表面実装タイプのものを使用します。 設計  スルーホールと配線を以下の通りにします。  MOSFETはドレインとソースは2A程度流れるイメージなので、配線は1mmのスズメッキ線を使用します。ゲートはPWMからの信号を使用します。このラインは0.2mmのスズメッキ線を使用します。  前回実装した際、RaspberryPiのヘッダーピンを実装しましたが、ヘッダーピンを片側にしかはんだ付けしなかったため、接着剤を使用してヘッダーピンを固定してやる必要がありました(ユニバーサル基板の場合はすべてのピンを裏面のランドにはんだ付けするためヘッダーピンが外れることは無かったのですが、3Dプリント基板では必要なピンしかはんだ付けしないため)。それで今回は使用しないピンも固定できるように、グランド同志を結線させてやることにしました。  また、今まではユニバーサル基板での設計に合わせて、2.54mm間隔で配線をしていましたが、もっと狭く配線できるはずなので、3本並んだラインの間隔を狭めて実装時に不具合が無いかどうかチェックすることにしました。  ロータリーエンコーダーは5ピンついているのですが、実質的に使用するのは3ピンのため、残り2ピンはやはり部品の固定が行えるようにどこにも接続しないスズメッキ線を入れてはんだ付けで固定できるようにしました(下図左側部分) 印刷結果  以下のように印刷できました。  0.2mm配線で表面実装用の配線を組むために裏側から線を出して、表面を這わせた後再び裏面に入れて固定する方法を考えました。ただ実際に印刷した場合には小さな穴がつぶれてしまったため、うまく配線できませんでした。 それでいったん穴を大きく開けて0.2mmスズメッキ線を通した後にUVレ...

3Dプリンターで電子基板を作る(第三回)なんとか完成

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 基板改良 前回の結線不良を受けて、基板設計を変更しました。結線不良はスズメッキ線が届いていなかったのが主な原因なので、スズメッキ線の長さが適当にならないよう、端まで配線できるように設計を行い、かつスルーホールがふさがらないように結線部を少しずらすようにしました。 さらに曲げ部分の曲げ半径を1mmから1.5mmに変更しました。こうすることにより、前回までは配線を曲げるときにラジオペンチで押さえて曲げていましたが、溝に沿って押し込むことで勝手に曲がっていくようになりました。 さらにGNDなどラインが合流する部分に関して、下記のように平行にスズメッキ線を入れるようにすることで、ハンダによる固定を行いやすくしました。 印刷 光造形3Dプリンターで印刷した結果は以下の通りとなります。 表面は以下の通り、スルーホールがふさがらずにキチンと開くようになりました。ちなみに印刷後すぐはふさがっているのですが、IPAでの洗浄の際に歯ブラシで磨くことにより、スルーホールの表面がキチンと開きました。 配線 スズメッキ線で配線を行います。今回時間を測ってみたのですが、配線に慣れたこともあり、20分ほどで行う事が出来ました。ユニバーサル基板+手はんだではこの時間では行えないですね。確認も必要ですし。 配線後のスルーホール部分は以下のようになっています。 スルーホール自体を避けて、横側まで配線が伸びています。 合流部は以下のように、平行に2線が並ぶ形になっています。 表面は以下の通り、LM2596はヘッダーピンが無いので、スズメッキ線を伸ばして、配線用に使用します。 結線 表面部分をならべ、都度ハンダで結線します。 スルーホールはヘッダーピンの部分はヘッダー部分の長さ、コンデンサーなどの部分は以下のような長さで足をカットします。 ハンダで結線します。コテ先は通常は太いものを使用した方が熱量があってハンダを乗せやすいのですが、今回はレジンで作成した基板のダメージが少ないように以下のような先の細い、曲がったものを使用します。 スルーホールから出ているヘッダーピンなどの足にはんだごてを当てて十分に温めてからハンダを流し、その後ハンダの塊を伸ばすようにスズメッキ線に押し当てることにより結線します。スズメッキ線はハンダの定着が良く、少しの熱で定着するので、このようにするとうまく結線が出来ます。 ...

3Dプリンターで電子基板を作る(第二回)そんなに甘くはない

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今回は 失敗談です。 新たな基板づくり 今度は実用的な基板を作成しようと思います。Raspberry Pi Zeroを使って、ステッピングモーターをコントロールする基板です。 モータードライバーとしてDRV8825というボードを使用します。 DRV8825でステッピングモーターをコントロールしようとする場合、フルサポートしたければGPIOのピンを9本使うことになります。かなり配線的に面倒です。DRV8825用に必要なGPIOは以下の通りとなります。 DIR:モーターの正転・逆転を指定するためのピン STP:ステッピングモーターを1ステップ動かすためのパルスを出力するためのピン SLP:DRV8825をスリープモードにするためのピン RST:DRV8825をリセットするためのピン M2、M1、M0:マイクロステップの指定用のピン(3本) ENA:制御を有効にするピン。有効にした場合、モーターがロックされる FLT:DRV8825のエラー(フォルト)を検出するためのピン(読み取り用) 9本GPIOを占有するのは大変なので、STP以外の書き込みをシフトレジスター経由で書き込んでシフトレジスター用のGPIO3本+STP1本+FLT1本で実装することが多いようです。ステッピングモーターを増やした場合、シフトレジスターをカスケード接続することでコントロールできるので、使用するGPIOピン数は(3+ステッピングモーター数×2)で済みます。 とはいえ、今回はDRV8825をGPIOと直結してフルサポートしようと思います。 電源は12Vを使用し、LM2596を使用して5Vに降圧してRaspberry Pi Zeroに入力します。ステッピングモーターには12Vを直接入れられるようにします。 回路図作成 前回と同様、FreeCADで回路図を作成します。スルーホールを直径1.5mmの円柱として作成してみます。 印刷 印刷します。 右上が欠けてしまったので、もう一度印刷します。 全く同じ場所が欠けてしまいました。回転させてもう一度印刷してみます。 右上は綺麗になりましたね。その代わり左下が欠けてしまいました。 表面です。今回はスルーホールがきちんと残りました。 配線 スズメッキ線でRaspberryPiZeroのピンホールをカバーするように溝部分を配線していきます。 ここで重大なミスに気が付...